どっちのたばこSHOW…
私と妻は同じ銘柄のたばこを吸っているのですが、妻の吸い方はちょっと変わっております。たばこを必要以上に深くくわえて、加えてフィルターを噛んでいるのです(笑)。そして、これまた必要以上に深く息を吸い込んで、ちょっと身体には良くなさそうな吸い方です。とは言え、私もたばこを吸っている時点で身体に良くないことは十分承知しているのですが…。
しかも、妻が吸ったたばこは、フィルターが湿っています。もとい、湿っているのではなく、フィルターが唾液を飽和状態まで吸い込んだ状態になっています(笑)。どうしてそうなるのかは分かりませんが、以前、間違って妻の吸いかけのたばこをくわえてしまったことがありまして、大変な目に遭ったことがあります(笑)。
そんな妻がたばこを吸う理由…それは「身体が求めているから」だそうです。
一方、私はたばこを極めて浅く加えます。と言うよりも唇に乗せる感じで、小さく息を吸い込みます。当然、あまり煙が入ってきませんが、別にいいのです。
私は手にたばこを挟んで、時折口に運ぶだけで満足するタイプです(笑)。言うなれば、それがたばこではなく禁煙パイポでも、全然構わないのです。妻の言葉を借りれば「身体が求めているわけではないから」です。
そんな私がたばこを吸う理由…それは「紫煙をくゆらせながらあれこれ思考したいから」なのです。
前置きが長くなりましたが、子どもが寝静まった夜の一コマです。
1つの灰皿に2本のたばこ。
たまたま時を同じくして妻も私もたばこを吸い始めた。
仲良く灰皿に乗っている2本のそれは、同じ銘柄。
同じ箱から取り出された大量生産品であったはずなのだが、手に取る人によってその運命が大きく異なってしまったようだ。
ひとつは、先端から紫煙が立ち上るほかは、まったくの未使用と見まごうばかりのフィルターが印象的な、クオリティの高い一本。その上品な扱われ方は、手に取る人の人格がにじみ出ているかのようだ。たばこにとっても本望であるに違いない。
もう片方は、見るも無惨に歯形がつき、フィルターが濡れ光っている一本。その不当とも言える扱いを受けたたばこの姿は痛々しく、その不当な扱われ方は、やはり手に取る人の人格がこれでもかというくらいに表出しているかのようで、たばこが不憫でならない。
しばしの時を経て、私も妻も灰皿のたばこに手を伸ばす…その時の妻のひと言。
妻「どっち?」
私「聞くまでもなかろう!」